本文へ移動

第26回(2023年) 受賞作品〈茨城県土浦市〉

第26回(2023年) まちづくり・都市デザイン競技は、茨城県土浦市の「土浦駅前通り周辺地区」(約20.6ha)を対象に実施しました。
全国から41作品の応募があり、入賞作品が下記のとおり選定されました。
 *土浦市長特別賞は、土浦市にて選定されました。
スケジュール
 応募登録期間        : 令和5年10月2日(月)~令和6年2月20日(火)
 現地説明会         : 令和5年11月6日(月)14:00~15:00
 質疑受付期間        : 令和5年11月6日(月)~11月13日(月)
 応募図書提出締切 : 令和6年3月5日(火)17時必着
 審査委員会         : 令和6年3月15日(金)

応募要領

(738KB)

11月 審査員による現地説明会の様子
3月 審査委員会の様子

受賞作品


国土交通大臣賞

作品名
湧きあがり、うるおう土浦 

受賞者
石田 武/半澤 武夫/野島 僚子/前山 倫子/渡辺 優也/鈴木 茜/唐木 美咲/堤 慶介/林 真侑子/相川 文成
[大成建設株式会社]
審査講評
  • 地域の分析から、与えられた課題への対応、幅広い提案、そして美しいプレゼンテーションと総合的・網羅的で完成度の高い提案と高く評価。一方、決められた手順で、手慣れた解決手法を見せてくれる内容に既視感を感じてしまう内容。加えて、街を変えていく手順を考えた時、少し尖った提案を今後は期待したい。
  • 都市の歴史から構造、対象地区周辺の課題から解決の提案まで、バランス良くまとめられている。川口川の再生提案も自然で、全体の構想の中に組み込まれている。精度の高い提案となっている点を高く評価。
  • 土浦における悠大な霞ヶ浦とまちを将来的につなぐという基本的視点をとり入れた唯一の提案。都市化の中で埋もれていった河川を再生させ、重層する歴史をつなぎ、未来への道筋を提示していることを高く評価。亀城公園・蔵・水のマーケット・まちのアトリエまで、細部がきめ細かく提案されており、緻密に検討された作品。
  • 全体的にデザインがまとまっていて、動線計画が平面的にも立体的にも整合している提案。水辺を大胆に取り入れた内容が魅力的であり、計画エリア全体にわたって緻密にデザインされている点を高く評価。
1枚目
2枚目


まちづくり・都市デザイン競技審査委員会賞

作品名
「ポスト・シュリンキングシティにおけるインフラ空間のリ・デザイン~インフラストックを活用した重層的な土浦カルチャーの創造と継承~」
 
受賞者
筈谷 友紀子/坂井 信行/山﨑 将也/山本 貴子/橋本 晋輔/小宮 伊織/宮 英理子/石川 俊博[株式会社地域計画建築研究所]
酒見 知里/益戸 亮平/宮川 武大[株式会社よかネット]
審査講評
  • 地域の分析から、与えられた課題への対応、幅広い提案という点で高く評価。加えて、課題の柱であるモール505、中央地区そして裁判所隣接の公園ビルとポイントを絞って重点的に手を入れるべきといった戦略が見えるところを高く評価。
  • 土浦のまちなかに時間的に積層されてきた様々な時代の建築物や構築物を丁寧に見出し、評価し、新たな息吹を吹き込む提案と高く評価。そこに「サブカルチャー」というキーワードで土浦のまちらしいアクティビティを生み出そうとしている点も興味深い内容。その反面、この手法によると比較的断片的な提案になりやすいため、まちなかの大きな構造に対する提案があるとより良かった。
  • 対象地区全域にわたって具体的な提案を行っており、地区の深い理解が感じられる。路地を積極的に評価している点が面白い。ゾーン毎の提案も現実的で説得力がある内容と高く評価。
  • 時代の変化に伴うインフラの役割が異なった結果、その「ズレ」というすき間から生まれてくるサブカルチャーに着目した点を高く評価。ここにヒューマン・スケールのアクティビティを生み出し、活性化していく手法はすぐれた着眼点。「小町おもむきゾーン」というつなぎの重要なエリアのデザイン提案に説得力が不足していたが、着眼点は素晴らしく、今後に期待したい。
1枚目
2枚目


(公財)都市づくりパブリックデザインセンター理事長賞

作品名
「みちくさつちうら~未知を掻き立て、発見や気づきのある体験に出会うまち~」
 
受賞者
中本 拓也/前田 旭陽/後山 瑛美/白井 颯人/成田 知里
[清水建設株式会社]
審査講評
  • 高架道路を自転車専用化し、かつ中央地区にその昇降場を設け街のど真ん中にサイクリストを引き込むことに焦点を当てた提案は、的を絞りストレートに表現したものと高く評価。
  • 三種の道によって織り成される大きな骨格と,みちくさ体験を豊かにする小さな場所の設えやアプリの両方に支えられた魅力的な提案。それぞれの道も特徴が際立っており,高速な自転車を通過させるだけでなくまちなかに下ろしてくる拠点があるのも良い提案。この拠点はキーポイントになり得るので、もう少し具体的に魅力のある建築として提案されていればよりインパクトが高まった点を今後に期待。
  • スポーツサイクルの街・土浦を意識した提案。加えて、アートを切り口に体験を共有しようという内容。部分・部分のデザインには検討を深める余地があるが、若い方の提案として全体像を追求しようという点を高く評価。
  • 人のアクティビティに着目し、探索・発見・交流・刺激・発信という流れに沿って、空間構造をデザインしていった点を高く評価。一方、その即地的プランに対し、サイクルハイウェイ―が導入されており、その意義は十分に理解できるものの、説明に納得できるものがなかった点は今後に期待したい。
1枚目
2枚目


奨励賞

作品名
「つちうら・コウテン・デザイン」
 
受賞者
佐野 千優
[明治大学理工学研究科]
審査講評
  • 「町の使い方」を中心に提案をしていく方法に好感が持てる。また、紙面全体としてのまとまりあるビジュアルも高く評価。
  • 印象的なのは2枚が繋がるプレゼンボードによって描かれるまちの様子で、都市の固いガワではなく柔らかいアンに生き生きとした都市生活が展開するイメージがよく伝わってくる内容。アクティビティ・ベースの提案な分、ハードのアーバンデザインの提案が若干弱いが、現代の若手らしい内容とも言える。しかしながら,2050年を見据えると、ハードについても劣化や無秩序な建替えが進む可能性も高いので、ポイントポイントでガワの提案もあるとより完成度が高くなっただろう。
  • 地域全体の都市デザインが、分かりやすくヒューマン・スケールのイラストで表現されていて、市民や多くの皆様によって、やさしい楽しいまちになる未来がイメージできる点を高く評価。
  • イラストによってそれぞれの場所における魅力的なアクティビティを提案している点がユニーク。イメージの豊かさを感じる。帆曳大屋根や堀内水中ロードなどの独創的なアイデアで、特徴づけられたプランをまとめた斬新さを備えた作品。残念なのは、広場の提案が中心で、建物に関する言及がやや少なかった点。
左側
右側


奨励賞

作品名
「つちうらぽかぽか-都市のコリをほぐし、巡りを整えるデザイン-」

受賞者
上林 就[株式会社上條・福島都市設計事務所]
網倉 朔太郎[株式会社日建設計]
梶本 正紘[野村総合研究所]
鈴木 優里[株式会社イー・エー・ユー]
中島 深太朗[株式会社上條・福島都市設計事務所]
審査講評
  • 「回遊性」の向上をメインのテーマとして、チャレンジした作品。にぎわい、アクティビティに関しては、ビジュアルを含めて、多くの提案が行われている点を高く評価。一方、「土浦」という街を振り返った場合、ベースとなる「環境」の提案がなければ、地に足のついた未来へのビジョンとしては、マイナスポイントとなる。今後の一層の研鑽を期待する。
  • 各エリアの特徴を捉えた新たな都市空間が描き出されている。また、それらをつなぐ街路ネットワークとモビリティの提案があり、全体が緩やかに統合された内容。生活・アクティビティの提案と、それを支える建築物・構築物のそれのバランスも良い。高い高架車道を低い高架歩道にして沿道を活性化する提案はユニークだが、グランドレベルへの影響が若干懸念される。
  • 新しい都市空間のあり方を提案するパース図が好感を持てた。川口ショッピングモールの新しい使い方がユニークで面白い。コリをほぐすツボを戦略的に提案する新しい計画論を感じる。
  • 高架道路と505を一体的に解いていこうという視点等、対象地のストックをたくみに読み取り新しいデザインをほどこした点や土木と建築の融合が意識されている点を高く評価。施設の配置にも工夫が感じられる内容。
1枚目
2枚目


土浦市長特別賞

作品名 
「滲彩(シェンツァイ)土浦」 

受賞者 
山本 百花/池田 実咲/鶴田 帆夏/林 拓未/保坂 怜佳/三村 彩/李 駿聡 
[工学院大学]
審査講評
  • 課題解決のプロジェクトを雫と見立てて、魅力的な場がじわじわ広がり混ざりあうことでまちが形成されるという考え方が面白い。滲彩(シェンツァイ)は「地元への愛着がにじみ、市民・観光客のにぎわいが土浦を彩る」という意味だと説明があるとおり、イメージ全体に心を豊かにしてもらうおもてなしが感じられる。
  • 亀城公園周辺の歴史資源を活用する上で、サービス対象を外国人居住者や外国人観光客にまで向けるという視点が良い。
  • 中央一丁目にネウボラを作るという考えは市の取組と合致している。また、ネウボラのほか、障害者、高齢者が増加していくことを踏まえ、まちなかにインクルーシブスポーツパークを作るという提案は、まちに温もりが生まれることが期待できる。
  • プロジェクトを上げて終わるのではなく、マネジメントについても考えられている。
1枚目
2枚目
※土浦市長特別賞について、2024年6月18日に土浦市役所で表彰式が執り行われました。
※2024年6月20日~30日まで、土浦市役所2階の展示スペースにて、入賞作品のパネル展示が行われました。

総 評


  • 町の基本的な課題を素直に捉え、的を絞って対応策を提案してくるといった案は多くはなかった。総花的でもっともらしい提案をしていても街は変わらない。より的を絞った戦略的な提案があれば良いと感じた。
  • 大臣賞と審査委員会賞がいずれも川口川の再生をテーマとして提案しており、時代の流れを感じる。いずれの提案もミクロからマクロまで過去から現代までに満遍なく目配りをしており、精度の高さを実感した。
  • 悠大な霞ヶ浦を擁し、亀城公園、水運で栄えた街並みそして近代遺産であるショッピングモールと歴史の凝縮した稀有なまちであると、深く敬意を表する。まちの未来に対し、真摯な問いかけをし、チャレンジした作品が多かった。都市デザインという長期を見すえた視点からは、国土交通大臣賞作品は「まもり再生していくインフラとは何か」という原点を提案したもので、まちづくり・都市デザイン審査会賞は、それを支える人のアクティビティのきめ細やかな提案を行っている内容。未来の土浦に対して、すぐれた提案を選出することができ、これにまさる喜びはない審査会となった。
  • 様々な空間的特徴をもつ対象地ならではの多彩な提案がみられた。新しい時代の価値観を取り入れるものもあれば、古いストックに光をあてようとする内容まで様々であり、本コンペの奥行を感じさせるものが多かった。

結果概要(応募件数・審査方法・受賞作品・審査講評)

<掲載作品>
国土交通大臣賞/まちづくり・都市デザイン競技審査委員会賞/(公財)都市づくりパブリックデザインセンター理事長賞
<掲載作品>
奨励賞(2点)/土浦市長特別賞

過去の入賞作品

過去の入賞作品はこちらをご覧ください
TOPへ戻る